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2022年1月26日 0
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福島よいとこ 何度も行こう 映画『フラ・フラダンス』レビュー【映画レビュー】

福島よいとこ 何度も行こう 映画『フラ・フラダンス』レビュー【映画レビュー】
2022年1月26日 0
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2021年12月3日より全国で公開

オリジナルアニメ映画『フラ・フラダンス』

作品の概要

東日本大震災の被災地支援のためのプロジェクト「ずっとおうえん。プロジェクト 2011+10…」。〝ご当地アニメ″によって被災地の観光資源を造る事を目的としたもので、

アニメ作品をきっかけに、多くの方が被災地を訪れ、 創生の息吹、自然の美しさ、文化の深さ、食の豊かさなど、その地域の魅力に触れることで、 これらのアニメ作品が、次の10年、20年へとつながっていく無形の資源となり、 長期的な被災地支援につながることを目指しています。

「ずっとおうえん。プロジェクト 2011+10…」 公式ホームページ ABOUTより

一作目は、宮城県の高校を舞台に男子新体操に打ち込む高校生達を描くTVシリーズ『バクテン‼︎』。二作目は柏葉幸子さんによる児童文学が原作で、岩手県を舞台に「ふしぎっと」と呼ばれる不思議な生き物と少女の交流を描く『岬のマヨイガ』。

そして第三弾は、福島県いわき市のスパリゾートハワイアンズのダンシングチーム新入社員五人の奮闘を描く『フラ・フラダンス』。

公式ホームページより 真ん中の子が主人公の日和

主人公は、福島県いわき市在住の女の子夏凪日和。
進路に迷う日和はある出来事をきっかけに、今は亡き姉真理と同じスパリゾートハワイアンズのフラダンサーの道を歩むことを決意する。
見事採用試験に合格し、養成学校への入学が決まった日和であったが、ダンスの経験もなく査定は最下位。

同期の仲間たちもステージでの失敗がかさなり、ここ近年で最も「残念な新人たち」の烙印を押されてしまう。
ここから、フラダンスを職業に選び、皆を笑顔にすることを決めた少女たちの逆境をくつがえす奮闘が始まる———。
というお話。

感想

総監督は『鋼の錬金術師』などの監督を務めた 水島精二さん、脚本は『ガールズ&パンツァー』や『けいおん!』で有名な吉田玲子さん。
監督は綿田慎也さん。代表作は『劇場版 アイカツスターズ!』など。

監督さんの人脈なのか『アイカツ!』のスタッフをしていた方が多く制作に参加していて(キャラクターデザインのやぐちひろこさん等)、その為か作画を含めた全体的な雰囲気は週末土曜日曜の午前中、テレビ東京系のアニメを見ているようなカンジ。親しみやすく、とっつきやすい。

そんな描写の中で描かれる福島やスパリゾートハワイアンズは大変魅力的に見えました。
へぇ~と言いたくなるようなトリビアだったり、美しい福島の海の情景であったり…。

私は、スパリゾートに宝塚歌劇団の宝塚音楽学校のような、ダンサーを養成する学校があるというのは初めて知りました(常磐音楽舞踊学院)。
スパリゾートの運営の裏側が垣間見えたりするのも面白い。エンドロールでいわきの歴史が紹介される演出も、昭和から続く長い歴史の感慨を感じましたし、Go Toトラベル事業が復活したら福島に行ってみようかという気にさせられました。私的には本作の意義は充分に達成されてしまったのであります。

映画本編の内容は‥、有無をいわせず観客を引き込むパワーというものにはやや欠けるような気もするのですが、ただ、よーく見てみると、シナリオは緻密に作られ、堅実な仕掛けが施されていると感じました。
重要なのは亡くなった姉、真理の存在。

ただ、この真理が曲者というか何と言いますか‥。
真理はハワイアンズの元トップダンサーであり、主人公日和が密かに心を寄せる鈴懸の元彼女であり、日和にとっての目標であり、親族でもある。東北地方が被った喪失や不幸の象徴とも言えるし、逆に希望や愛、信頼の象徴とも言える。言わば物語の全てに関わっているキャラクター(キャラクターを偏らせないためか 、真理は一体どんな人だったのか、何故亡くなったのか、真理にとってのダンスは何だったのか、ディティールをハッキリさせる描写が一切無い)。
その真里に張り巡らされた伏線がすべてラストへ集約され、日和が生きる意味を見出していく様は感動的でありました。
恋あり、歌あり、ダンスあり、アニメツーリズムあり、仲間との友情物語あり。これらの要素が真理を軸としてひとつに繋がるシナリオになっている……と、私には見えました。

ただ、うまく機能しているのかどうかは別問題というか‥。

色々な仕掛けがありすぎて総花的な作品になってしまっている感は否めず。一部分にクローズアップして見ると、面白いのですが。

なので、お話に引き込まれるパワフルさには欠ける。

純粋に女の子たちの成長物語として見れば非常に感動的な映画でしたが、枝葉が気になり始めるとうまく没頭できない。そんな映画でした。

映画『フラ・フラダンス』
総監督水島精二
監督綿田慎也
脚本吉田玲子
キャラクターデザイン・総作画監督 やぐちひろこ
美術監督・美術設定・美術ボード日野香諸里
音響監督木村絵理子
音楽大島ミチル
編集坂本久美子
制作BN Pictures
出演夏凪日羽:福原 遥
鎌倉環奈:美山加恋
滝川蘭子:富田望生
オハナ・カアイフエ:前田佳織里
白沢しおん:陶山恵実里
平和人:山田裕貴
鈴懸涼太:ディーン・フジオカ
夏凪真理・CoCoネェさん:早見沙織
主題歌「サンフラワー」
フィロソフィーのダンス
挿入歌「ありがとFOR YOU」
歌:いろいろディライト!!
「Holiday」
歌:環みちる
他
配給アニプレックス
上映時間約1時間22分
本編上映時間約1時間17分
クレジット上映時間約5分
ポストクレジットシーン無し
引用画像は「オリジナルアニメ映画『フラ・フラダンス』本予告」&「日羽を取り巻く人々編」より

ずっとおうえん。プロジェクト 2011+10… スパリゾートハワイアンズ フラ・フラダンス 東日本大震災

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