ケンイチ探偵 感想倶楽部
  • HOME
  • 全ての投稿記事
2022年11月8日 0
アニメの雑感日記, 小説の感想, 感想記事, 日々の感想, 映画の雑感日記

『星を追う子ども』的、ザ・たっち的『小説 すずめの戸締まり』読みました【日々の感想】

『星を追う子ども』的、ザ・たっち的『小説 すずめの戸締まり』読みました【日々の感想】
2022年11月8日 0
アニメの雑感日記, 小説の感想, 感想記事, 日々の感想, 映画の雑感日記
ホーム » 感想記事 » 日々の感想 » アニメの雑感日記 » 『星を追う子ども』的、ザ・たっち的『小説 すずめの戸締まり』読みました【日々の感想】
新海誠著 角川文庫刊『小説すずめの戸締まり』

2022年11月11日より公開予定の『すずめの戸締まり』(監督 新海誠 配給 東宝)、これの小説版、新海誠著『小説 すずめの戸締まり』を読みました。

お話そのものは読んでいて楽しいドタバタロードムービーと言いますか、淡いラブコメ要素の入った『蟲師』と言いますか…。

イヤ、もっと深いテーマもあるのですが、読んで連想したキーワードを並べると以下のようになります。

  • 少年マンガ的
  • 『星を追う子ども』
  • 破綻しかかったストーリー展開
  • 東日本大震災
  • 岬のマヨイガ
  • 円熟味や安定感
  • ご都合主義&ザ・たっち

少年マンガ的

災厄を防ぐために日本各地を廻り、「ミミズ」という地脈の歪みを常世(とこよ)に帰し後ろ戸を閉じる「閉じ師」。
蟲師、召喚師、魔術師、陰陽師、錬金術師…、〇〇師という設定はなんだか少年マンガ的なワクワク感ありますね。そういうタイプの新開作品は珍しいのではないかと思いました。

『星を追う子ども』

ただ、神話などが世界観の基盤になっている点や、親がいないという家庭環境に暮らすヒロインが、突如現れたミステリアスな男に大した理由もないのにノコノコ付いていくという基本ストーリーは…、私にはあの伝説の迷作『星を追う子ども』を彷彿とさせるものがありました。

公式ホームページより 新海誠監督 2011年作品

破綻しかかったストーリー展開

なんだか似ていると思う部分も多かったです。あんまり書くとネタバレになりますので控えますが。
しかし…、『星を追う〜』は、いまいちフィット観のない宗教・文化・死生観だとかファンタジー要素だとかを目一杯詰め込んだ世界設定、主人公の明日菜はシュンを生き返らせたいが為に、命懸けでアガルタに踏み込んで行ったのかと思いきや、「寂しかったから」という凄まじい抽象的な理由だけであんなに銃を乱射しまくる森崎について行っていたという、動機が共感出来るような出来ないようなよくわからない破綻しかかったストーリー展開。
…物語の世界観は壮大で見応えはありながらも、これらが渾然一体となって一斉に不協和音を奏でる危うさ。これが観ていてクセになる。それが『星を追う子ども』の良いところだと思うのですが…。

東日本大震災

『すずめの戸締まり』が決定的に違う点は、そういうクセや危うさはない、世界観は真逆の高い完成度だと感じました。「無難にまとまりすぎ?」と思うほどに。
これは東日本大震災がテーマであるからでしょうか。
本作の設定の一つに、主人公の鈴芽は、東日本大震災に被災したために宮城から九州に移住した、というものがあります。

これに関しては、公式ホームページから注意喚起もあります。

公式ホームページより

岬のマヨイガ

私が読んだ児童小説で、同じく東日本大震災がテーマで印象に残っているのは『岬のマヨイガ』。
あの作品も、震災という災厄が示す大自然の力やそれに翻弄されつつも同じ世界の中で暮らす命の有り様を「アガメ」という魔物や河童などの妖怪通じて描き出し、主人公のひより達が勇気や命の意味を見出すまでを描いた名作。
『すずめの〜』も同様に、ロードムービーという形を借りながら鈴芽の命の深淵を辿り自分を取り戻す旅の物語。最後は各キャラクターと鈴芽の関係も綺麗に収まり(ややナゾが残る点もありましたが…)、そして草太とも。

公式ホームページより

円熟味や安定感

やっぱり「行ってきます」…、「行ってきます」というキーワードが印象的ですね…。あんまり詳しく言うとネタバレになりますが。
何だか円熟味や安定感を感じました。

『星を追う子ども』でやりたかった事はこういう事だったのか?という気もします。

新機軸な要素もあれば安定感もある。これが映像化されればどうなるのか興味深くもあります。

ご都合主義&ザ・たっち

ただ、ストーリー展開そのものは随分とご都合主義的です。
確信犯的にやっている感もあります。
とにかく強引な展開になると大体「えええ———!!」か、「ちょっと、ちょっとちょっと」という合いの手台詞で、『まぁいいか』という感じで全てまるく収まります。

あまりにも多いので、すべて書き出してみました。本作の雰囲気を感じてもらえれば幸いであります。

私が読んだのは電子書籍版なので、ページ数表記はありません

合いの手記述箇所
「えええええ!?」6%
「えーっ、ちょっとちょっとちょっと!?」12%
「え、ええええー!」12%
「え?えっ、ええ!?」13%
『ちょっと、ちょっと待たんね、鈴芽!』15%
「え、ちょっとちょっと、鈴芽?」21%
『ちょっと——ちょっとちょっと、鈴芽、あんた!』25%
「え?——ええっ!」32%
「え、ちょっとちょっと」45%
「え?え、おいちょっと、あんた!」50%
「え、ちょ、ちょっと」54%
「ちょ、ちょっと環さん」67%
「ちょ、ちょっと鈴芽、待たんね!」68%
「おいちょっと、鈴芽ちゃん!」71%
「ちよ、ちょっとまってよ稔くん!」74%
「え、ちょ、ちょっと…環さん?」76%
「ごめん、ちょっと!」77%
「ちょっとちょっとちょっと……!」77%
「ちょっとちょっとちょっと……!」79%
「ええ、ちょっとちょっとちょっと——!」80%
「え、ちょっと」80%
「ちょ、ちょっと、鈴芽!」82%

九九州の静かな港町で叔母と暮らす17歳の少女・鈴芽(すずめ)。ある日の登校中、美しい青年とすれ違った鈴芽は、「扉を探してるんだ」という彼を追って山中の廃墟へと辿りつく。しかしそこにあったのは、崩壊から取り残されたようにぽつんと佇む古ぼけた白い扉だけ。何かに引を寄せられるように、鈴芽はその扉に手を伸ばずが…。過去と現在と未来を繋ぐ、鈴芽の戸籍まりの物語が始まる。新海誠監督が自ら執筆した原作小説!

本書カバーより
2022年11月11日より全国公開

ザ・たっち 小説 すずめの戸締まり 新海誠 星を追う子ども 東日本大震災

前の記事デザイン一見の価値アリ 映画『ぼくらのよあけ』レビュー【映画レビュー】次の記事 2011年「星を追う子ども」から‟おかえり”の旅 映画『すずめの戸締まり』【映画レビュー】

コメントを残す コメントをキャンセル

コメントを投稿するにはログインしてください。

最近の投稿

  • つくば万博訪問記① 当時の思い出とつくば市の今【マイ聖地探訪の旅】 2025年9月23日
  • そう、そうです。共生の、感動的恋物語です!映画『ChaO』見ました【映画の雑感】 2025年9月4日
  • 見て実感 日本のアニメーション発展の歴史「高畑勲展」観覧記【日々の感想】 2025年8月27日
  • 松本零士ダンジョンへ行きました「松本零士展 創作の旅路」観覧記【日々の感想】 2025年8月7日
  • 火の鳥見開き生原稿で実感する〝偉人〟手塚治虫が描く魔法。その精髄を考える【日々の感想】 2025年7月18日
  • 「TAMIYA プラモデルファクトリー」で伝説のF1マシンTyrrell P34を愛でる 2025年7月4日
  • 上野の森美術館「五大浮世絵師展」で思う、JAPANの存立と文化立国【日々の感想】 2025年6月25日
  • 破滅の海を仲間と共に。新たな再生の道 映画『Flow』鑑賞記【映画レビュー】 2025年4月15日

カテゴリー

アーカイブ

タグ

21エモン GUNDAM FACTORY YOKOHAMA SF THE GUNDAM BASE YOKOHAMA Satellite この世界の片隅に ずっとおうえん。プロジェクト 2011+10… オナベ ガンプラ ククルス・ドアンの島 サンシャインシティ サンシャインシティ噴水広場 スタジオジブリ スパイダーマン チンプイ トモエ学園 パペットアニメーション ピノッキオの冒険 プラモデル マーベル ミミック メイドインアビス メイドインアビス烈日の黄金郷 モンガー 人造人間キカイダー 動くガンダム 吾峠呼世晴 宇宙戦艦ヤマト 安彦良和 宮崎駿 小林宗作 新海誠 星を追う子ども 東日本大震災 桜 機動戦士ガンダム 池袋 窓ぎわのトットちゃん 葬送のフリーレン 葬送のフリーレン展 ─冒険の終わりから始まる物語─ 藤子・F・不二雄 藤子・F・不二雄SF短編<PERFECT版> 藤子・F・不二雄大全集 藤子不二雄 鬼滅の刃 黒柳徹子
ケンイチ探偵 感想俱楽部
HOME | お問い合わせ | プライバシーポリシー

このサイトについて

世の中知らないことだらけ。
そんなケン一が、探偵となって世界の読み物、映画、出来事を調査・レビューする感想ブログであります。

キャラ紹介

サイト内検索

カテゴリー

最近の投稿

  • つくば万博訪問記① 当時の思い出とつくば市の今【マイ聖地探訪の旅】
  • そう、そうです。共生の、感動的恋物語です!映画『ChaO』見ました【映画の雑感】
  • 見て実感 日本のアニメーション発展の歴史「高畑勲展」観覧記【日々の感想】
  • 松本零士ダンジョンへ行きました「松本零士展 創作の旅路」観覧記【日々の感想】
  • 火の鳥見開き生原稿で実感する〝偉人〟手塚治虫が描く魔法。その精髄を考える【日々の感想】

各お部屋メニュー

  • アニメの感想
  • プライバシーポリシー
  • 全ての投稿記事
  • 問い合わせフォーム
  • 折々のせりふ
  • 映画の感想
  • 漫画の感想
  • HOME
上にスクロール