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2025年3月10日 0
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人類の電気的希望か 巨大ロボが見る夢は「日本の巨大ロボット群像展」観覧記【日々の感想】

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希望か絶望か 電気ウナギか電気羊か 巨大ロボが見る夢は? 「日本の巨大ロボット群像展」 観覧しました

画像は公式ホームページより

2025年1月上旬、ケンイチは池袋で開催された「日本の巨大ロボット群像展」に行ったのでした。

巨大ロボットの魅力とは何か、その発展の要因とは何か。それをメカニック、マーケティング、デザイン、時代性、等々…様々な観点から考察したものでありました。

展示コンセプトでユニークだったのは、人間の心の中に思い浮かべる『巨大ロボ』が真実にして唯一の巨大ロボリアリティである、としている点。

カタログ(図録)によれば…

それは企画の中心メンバーであったゲストキュレーターの廣田恵介氏(アニメ、ホビー関係のプロライター、2023年に急逝された)による考えだったのだとか。

しかし廣田にとってみれば、中間制作物をいくら展示したところで「巨大ロボット」 の「本物」は伝えきれないのです。その時、彼の考えの中にあった「本物」とは、「架空の巨大ロボット」そのものでした。それは、例えば各地に建造された「実物大」(=劇中の設定の大きさで作られた)の立体物のことではありません。アニメは平面の絵による映像表現なので、卓上のプラモデルであれ、いわゆる実物大の立体物であれ、それは「本物」ではないのです。 それでは「本物」はどこにあるかといえば、実はそれは我々の想像の中。それゆえ、その想像を強く喚起させるもの、疑似的にではあれ、設定上の大きさを体験できるものを作って展示したほうが良い――これが廣田の考えでした。

カタログ「日本の巨大ロボット群像」『「日本の巨大ロボット群像」展、意義と構成について』山口洋三(本展監修、福岡アジア美術館学芸課長)より

つまり、〝巨大ロボ〟とはすべて人間のイメージの産物。すべてイマジネーションの中で完結する存在。
それは人間の心、感情の具現化、写し鏡であり、言い換えるなら「人類共通の夢」。
巨大ロボを見て、『カッコいい』とか『強さ』『美しさ』というワクワクするポジティブな情感が呼び起こされるのは、そういう由来から来るのでしょうか。

そういった「その想像を強く喚起させる」仕掛けとして、「疑似的にではあれ、設定上の大きさを体験できるもの」を意図した展示は多々ありました。

…やっぱりガンダムはデカい。

ちょっと大きすぎて、なんだか逆にイメージしづらいよう。

でも、少し離れたところからしか見られないお台場や横浜のガンダムとは違う実感があるんじゃない?

ウォーカーギャリアの足って…デカい!

「戦闘メカザブングル」プラスチックモデル1/100 ウォーカーギャリア プレミアムバンダイホームページより

ダグラムのコクピットは結構コンパクト。小さい!

「太陽の牙ダグラム」ダイキャスト製モデルHI-METAL R ダグラム プレミアムバンダイホームページより

ただ…、やっぱり実物大のモックアップとかいっぱいあればもっとリアルに実感出来ただろうけどなぁ。

制作におカネがいくらあっても足りないんじゃない?

『あらゆる芸術の士は人の世を長閑(のどか)にし、人の心を豊かにするが故に尊とい』と、夏目漱石の「草枕」には書いてありますが…

漱石流にいうと、芸術とは個人の『胸中の画面』、『胸中(霊台方寸)のカメラ』のネガを誰にでも見られる写真に表し、『住みにくき世』に生きる人の心を豊かにする行為。
それならば、ロボットの原寸大立像を作り出し、それを見て、触れたとしてもそれは真のリアリティでは無く、人の胸中のイメージこそが本当のリアリティだとする「巨大ロボ」というジャンルは、極めて純粋な芸術、もしくは芸術の新しい形と言えるのかも。

映像化・立体化された巨大ロボではなく、デザインを含めたロボットのイメージそのものが…

人がそれぞれに持つ思想を喚起する事を促し、増幅し、人の心を豊かにする…。

それが日本のアニメ、マンガが生んだ巨大ロボ群像の素晴らしさ、でしょ。

とも、言える。

かも。

まあ、イメージだけで考えると、論理は飛躍しかねないんですけど…。

もわ~

ああ…でも! それはコレのことじゃない?

?

巨大ロボの見る夢。胸中の宇宙を表わす尊い(たっとい)画がありますわ。

え…⁉

おお~

日本のメカデザイナーの草分けである、宮武一貴氏による大壁画が展示されています。

結構ラフに描かれているのですが、すごい迫力。
近くで筆のタッチを確認することも出来る。展覧会の醍醐味も味わえます。

これこそが、巨大ロボットを通じて、アニメだからこそ表現出来る人間の想像力と創造性を、画(え)として表されているのではないか。

それが私たちの〝夢〟の一端に他ならない。

そう思うケンイチ達なのでした。

宮武 一貴(みやたけ・かづたか)

メカニカルデザイナー、イラストレーター、コンセプトデザイナー。スタジオぬえ所属。1972年、SF好きの仲間とデザイン会社・SFクリスタルアートスタジオを設立。「ひらけ!ポンキッキ」の美術設計などを行った。 1974年に同社を発展解消する形でスタジオぬえに移行。1977年に出版された小説「宇宙の戦士」では、加藤直之と共に人型兵器パワードスーツのデザインと挿絵とを担当する。映像作品に多くのデザインを提供し、(中略)日本のみならず世界中のロボットシーンに絶大な影響を与えている。

カタログ「日本の巨大ロボット群像」より

「日本の巨大ロボット群像展」は全国巡回展示中です。
詳しくは公式ホームページでチェックしてくださいね!

つづく

ウォーカーギャリア ダグラム ロボット 日本の巨大ロボット群像展 機動戦士ガンダム

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