本作の概要
あらすじ
1939年2月、スペイン内戦の戦火を逃れた大勢の難民が隣国フランスに押し寄せた。しかしフランス政府によって強制的に収容所に閉じ込められた彼らは、劣悪な環境のもとで寒さ、飢え、病魔に苦しむはめに。難民のひとりである画家のジュゼップ・バルトリは、それが人間らしさを保つ唯一の手段であるかのように、建物の壁や地面に黙々と絵を描き続けていった。若きフランス人憲兵セルジュは、そんなジュゼップに鉛筆と紙を与え、ふたりは固い友情で結ばれていく。
公式ホームページより
1910年にスペインバルセロナで生まれた、実在の芸術家ジュゼップ・バルトリの激動の人生をアニメ化した作品。
監督はこれが初監督作というフランスのイラストレーター、オーレル氏。2021年東京アニメアワードフェスティバルでグランプリ、2021年のフランスセザール賞の長編アニメーション賞を獲得するなど受賞歴多数。
おおまかな感想
公開初日に東京にて鑑賞しました。
舞台はフランス。
年老いた元憲兵のセルジュが自身の孫に、若き日に出会った芸術家ジュゼップ・バルトリについて語る、回想形式で物語は進む。
スペイン内戦という歴史、それにまつわる悲惨な事実は私には全く未知の領域だったので興味深かった。
セルジュの回想に出てくる強制収容所は動画の枚数も少なく、陰鬱な色彩と陽炎のような浮遊感は悪い夢を見ているかのよう。その中で描き出されるジュゼップのスケッチは、人間の生そのものでありジュゼップの人としての証でもある。
色彩にこだわり、絵画に輪郭線も必要ないとジュゼップに言ったフリーダ・カーロの生きざま等、その迫力は、この作品がアニメで描かれた意義を大いに感じさせるのものでもありました。
時代を経るにつれ、色彩も多彩となり動画の動きも精緻になる。明るい色彩のなか未来へ伝えるべき大事なものの橋渡しを感じさせるラストは、第二次世界大戦の時代を扱った作品としてはちょっと珍しい、「映画館まで足を運んでよかった~」と、梅雨が戻ったかのようなお盆の長雨の中、さわやかさを感じさせられるひとときでした。
映画『ジュゼップ 戦場の画家』 | |
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監督・芸術監督 | オーレル |
脚本 | ジャン=ルイ・ミレシ |
1st助監督 | ファン・カルロス・コンチャ・リベロス |
音楽 | シルビア・ペレス・クルス |
キャスト | ジュゼップ:セルジ・ロペス ヴァランタン:ダヴィ・マルセ 年老いたセルジュ:ジェラルド・ヘルナンデス 若いセルジュ:ブルーノ・ソロ フリーダ・カーロ:シルビア・ペレス・クルス バーニス・ブロムバーグ |
エグゼクティブ・プロデューサー | セルジュ・ラルー |
配給 | ロングライド |
上映時間 | 約1時間14分 |
本編上映時間 | 約1時間8分 |
クレジット上映時間 | 約6分 |
ポストクレジットシーン | なし |
他、引用画像は公式ホームページより