映画『神在月のこども』を観ました。 【アニメの雑感】
『神在月のこども』 見てきました。
シナリオや世界観は非常にしっかりと作られている作品だと感じました。
すこーし似ていると思ったのは十年ほど前に公開された映画『ももへの手紙』。
あの作品も不思議な物の怪が現れるし、家族を亡くしてしまった事が物語のキーになっているところも似ている。
『ももへの手紙』は大変良い映画だったのですが…、難があったとするならば、クライマックスにかけての主人公ももが乗り越える葛藤やストーリー展開にやや漠然とした感じがあった点。
なんだか問題が発生して、すごいんだけど何なんだかともかくもスンナリ解決してしまう。ももは一体何を乗り越えたのか、解るような解らないような…、とも見える。
『神在月のこども』は、主人公カンナの心の動き、成長、それに伴う親子の情愛の発露、各キャラの行動、クライマックスへの展開は丁寧に描かれ、非常に感動的な作品になっていると思いました。
さらに、作品に彩を添えているのは全国の留守神たち。牛神、猫神、塞(さい)の神…、日本の文化・伝承が土台となっているので世界観は破綻もなく非常にしっかりしている。様々な地域のいろんな神々が出てくるのは面白かった。
ただ一方で……、作画などのビジュアル面は決して悪くはないのですが、これといって飛びぬけた特徴も無いといった印象。
『ももへの手紙』の作画は非常に凄かった。
あのリアリティやデッサン、作画の迫力、あの表現力はジブリの『おもひでぽろぽろ』に匹敵するレベルだったと思います。
それがあったからこそ『ももへ』は、アメリカのアカデミー長編アニメ映画賞ノミネートの最終選考まで行ったのではなかろうかと思うのですが…。『神在月』の場合はそういう表現を目指していないといいますか、TVアニメ的な作画で取っつきやすさを重視している感じ。
アニメ映画というと、映画らしい〝華″といいますか、何かしらTVアニメとは違う画面的な存在感や〝プレミア感″とでも言うような要素を私は期待してしまうので…、どうしてもそういうところが気になってしまう。
ただ、非常に正統派で感動や勇気をもらえる上質な作品なので、お子様向けには大変良いアニメだと思います。