

「2025年アカデミー賞長編アニメーション賞受賞作、『Flow』観てきました。
どんどん、どんどんセカイの水位が上がっていく動物アニメでした。」

『Flow』あらすじ
世界が大洪水に包まれ、今にも街が消えようとする中、ある一匹の猫は居場所を後に旅立つ事を決意する。流れて来たボートに乗り合わせた動物たちと、想像を超えた出来事や予期せぬ危機に襲われることに。しかし、彼らの中で少しずつ友情が芽生えはじめ、たくましくなっていく。彼らは運命を変える事が出来るのか?そして、この冒険の果てにあるものとは―?
公式ホームページ〝STORY〟より

「理由もわからず、どんどん世界の水位が上がって生活圏が失われて行くのはすっごい本能的な恐怖!
山の上まで水位がだんだんと上がっていくんだよ⁉ こわーい!!」

「全編、セリフなし、ナレーションなし、人間キャラ皆無、世界観の説明的な描写も無く、主人公の猫ちゃんをはじめとする動物キャラクターたちが協力して展開されるサバイバルでストーリーが進行する。」


「それが見ていてすっごくワクワクした。」

「でも、ありがちな演出とかお約束的な展開も無いので、なんだか不思議な映画だったなぁ。」

「ワクワクする娯楽性もありつつ、どこか幻想的で人間や世界の本質に迫るような芸術性もあり…」

「そういうところがアカデミー賞にはウケるんだな、きっと。」


「水位が上がって住処が無くなるというのも暗喩的かもね。」

「だから猫ちゃんは仲間と助け合いながら、上へ上へと逃れるしかない。」

「上へ上へ…。」


「そこはテーマに関わる示唆的な表現なワケだ。」

「最初はひとりぼっちだった猫ちゃんも。上へと進むのをやめた時世界は再生する。
あとには仲間が残る…」

「破滅と再生、輪廻のような生命観を感じた。」


「制作費は約5.5億円だって。大手のピクサーやディズニーの大作に比べれば大体十分の一から二十分の一。
映像の制作は市販の3Dソフト『Blender』を使っている。探偵長も持ってたんじゃない?」

「う、うん。確かSteamで買った(使った事ないけど)。」

「質感はのっぺりした感じのCGだったけど、モーションの重量感とかリアリティは凄かった。」


「監督さんもスゴイ。
ラトビアのギンツ・ジルバロディスという人で…、94年生まれだそうだから、今三十歳か三十一?」
ギンツ・ジルバロディスかんとく(Gints Zilbalodis 監督・脚本・音楽)

1994年、ラトビア生まれ。映像作家、アニメーター。3年半の歳月を費やして一人で作り上げた長編デビュー作『Away』が、2019年のアヌシ―国際アニメーション映画祭コントルシャン賞を受賞。幼い頃から映画製作興味を持ち、10代の頃から短編映画の制作に取り組む。
文・写真は公式ホームページより

「三十代になったばっかり!?」

「十代の頃から自主製作で3Dの短編アニメ等作っていて…。
一人で制作した長編デビュー作『Away』が、2019年のアヌシ―で賞を受賞、今回スタッフ数十人の体制で『Flow』制作に至る。」

「それでアカデミー賞?」

「スゴイなぁ、自主製作作品が評価されてメジャーアニメ監督としてデビューって…
それはまるっきりラトビアの新○○さんじゃあないですか。」

「○○○はアカデミー賞なんかとれないだろ。」

「オイ!!」

「イ、イヤ、さっき言ったアカデミー賞にウケる芸風ではないという意味で…」

「『作風』でしょ!」

「みなさん、ギンツ・ジルバロディス監督の今後の活躍を期待しましょうね!」

引用画像は「Flow – Official Trailer」 YouTubeチャンネル『Madman Films』より