アニメ、漫画等印象的なシーンのセリフ・ことばを紹介致します
折々のせりふ 3
『機動戦士ガンダム』より
ジオンの後継者ギムロ・ザビは地球連邦との開戦準備を積極的に開始した。そして一方的奇襲に依って4つのサイドを殲滅した。
機動戦士ガンダム、TV関係者向け新番組案内パンフレット内〝ストーリー〟より
これは「機動戦士ガンダム Blu-rayメモリアルボックス」の購入者特典として、当時のパンフの復刻版が封入されていたもの。
放映前の企画段階で作成されたものらしいのですが、上に紹介させて頂いた『ギムロ・ザビ』なるギレンとアムロを足して二で割ったような存在しないキャラの名称が示す通り、現在のガンダムの設定から比較するとオドロキの描写が多々ありです。
アムロが日本人との混血とか、ミライさんの苗字が違ったり、一年戦争勃発の原因は地球連邦がガンダムを開発したためとか…。ストーリー案内は話の前後がバラバラ、内容はかなり支離滅裂です。
ただ、私が一番気になったのは「ストーリー」の上に掲載されている敵キャラ紹介。これまた、色設定がまだ決まっていなかったのかどうなのか良くわかりませんが、本来のガンダムの世界観とは相容れないカラフルさ…、というか一見ミスプリントかと見間違えそうな不自然さ。
特にスゴイと思うのはギレンが青色、デギンが緑色の肌をしているところ。
言うまでもなく、デギン・ザビもギレン・ザビも地球からの宇宙移民者ですから同じ地球人ですが…、当初の企画案では敵が異星人に設定されていたらしいので、その名残なのかも知れませんが。
考えてみればあの当時、70年代のロボットアニメといえば敵は宇宙人か人外のようなクリーチャー然としたキャラクターである場合がほとんど。宇宙戦艦ヤマトのガミラス人も、人の姿はしていてもみんな青色か緑色の肌だったし…そういえばスターシャは反対に白人女性みたいな姿だったっけなぁ…。
などと思い出に浸りつつ、デギンもギレンも敵のキャラクターなんだから、肌の色は緑か青じゃないの?と安易に色を付けられたとしても、まぁ無理からぬ事かとも思うのであります。
このパンフを見ていて、改めてガンダムがいかに常識を打ち破ったか、革新性を見る思いがしたのでございます。
ただ、ガンダムもまた歴史の必然の中で生まれた作品。
ガンダムの誕生した1970年代から80年代にかけては、アニメファンにとって非常にアツい時代だったのだろうなぁと思います。
『マジンガーZ』によってロボットアニメが誕生したのが1972年。『宇宙戦艦ヤマト』の放映が始まったのは1974年。『ヤマト』による初のアニメブームが起き、アニメ専門誌も次々創刊され始めたのが70年代後半。
〝ファン″の存在や自己主張がアニメを支える大きな原動力になり始めた時代。『ガンダム』の放映が始まったのは79年です。
ロボットアニメは『マジンガーシリーズ』『長浜ロマンロボシリーズ』などの名作はあったものの、それには飽き足らず、子供向けのエンターテイメントという既成概念を超えようとする流れ、「まだまだこんなものじゃないだろう」「もっともっと素晴らしいものは出来るはず!」…。そんなファンの大きな希望、願望のうねりがあったからこそ、『ガンダム』という傑作を成立せしめたのではないか。そこが『ガンダム』のもっとも素晴らしい点なのではないかと最近思います。