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2022年11月3日 0
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デザイン一見の価値アリ 映画『ぼくらのよあけ』レビュー【映画レビュー】

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公式ホームページより

目次

  • 大まかな感想
  • 概要・あらすじ
  • キャラクターデザイン・背景美術
  • 声優
  • スタッフ・上映時間

大まかな感想

1万2000年の年月をかけて惑星「虹の根」から地球にやって来た無人探査機「二月の黎明」号に遭遇した小学生ゆうま。「二月の黎明」号を故郷へ帰すためのゆうま達の奮闘を描くお話。
主要な登場キャラは小学生のジュブナイルもの。子供特有の不器用さや至らなさ、そこから来る残酷さや不条理の描写は本当にリアル(いじめの描写は実に生々しさアリ)。生命の本質や真理をも絡めつつ(生命活動・死の定義など)、未来への希望をつなぐラストは実に感動的。SFとしての近未来の世界観も非常に緻密に設定されていて、SFとしてもジュブナイル物としてもすごく良い作品だと思いました。

それがすなわち、原作漫画『ぼくらのよあけ』の素晴らしさ。その劇場版はどうなのかと言いますと…。

原作の感動は忠実に再現されていると思いました。団地の設定や宇宙船のデザイン、伏線など色々アレンジが施されていて盛り上がりはUP。脚本上はクライマックスに向けて感動が繋がっていく作りになっています…。ただ、やはり、原作付きのアニメ映画にありがちな現象として、原作内容の消化不良はあります。
原作は二巻完結でコンパクトにまとまっているのですが、設定のボリュームはかなりあり、それに伴いストーリーの密度も濃い。映画本編は120分程もあるのですがそれでも収まり切れないのか原作のストーリーはブチブチ細切れになっていて、原作そのものの伏線が消え去ってしまい勢いが削がれている。設定も説明しきれず、世界観の全容がハッキリしないので作品世界に没入しづらい。
…ネガティブな要素も多々あるのが惜しい。SFもの、ジュブナイルものとして良い作品ですので、ぜひ原作も一読をオススメします。

概要・あらすじ

西暦2049年、夏。
阿佐ヶ谷団地に住んでいる小学4年生の沢渡悠真は、間もなく地球に大接近するという”SHⅢ・アールヴィル彗星”に夢中になっていた。そんな時、沢渡家の人工知能搭載型家庭用オートボット・ナナコが未知の存在にハッキングされた。
「二月の黎明号」と名乗る宇宙から来たその存在は、2022年に地球に降下した際、大気圏突入時のトラブルで故障、悠真たちが住む団地の1棟に擬態して休眠していたという。

その夏、子どもたちの極秘ミッションが始まった——

公式ホームページより

原作は今井哲也さんによる漫画『ぼくらのよあけ』(全二巻 講談社刊モーニングKC)。
奇しくも、同じ団地を舞台にしたアニメ映画『雨を告げる漂流団地』(監督石田祐康 制作スタジオコロリド)が9月に公開されていましたが…まったく偶然でしょうね、『ぼくらの』は2011年の作品ですし。団地ってやっぱり人を引き付ける不思議な魅力があるんですね。

監督は『龍の歯医者』(総演出)TVアニメ『心霊探偵 八雲』の監督を務めた黒川智之さん。

今井哲也著 講談社刊 モーニングKC『ぼくらのよあけ』1巻

キャラクターデザイン・背景美術

キャラクターデザインは原作者・制作の意向のようで、原作からはデザインが若干変更されています。キャラクター原案はpomodorosaさん。
原作の絵のタッチは、個人的にはやや『日常』のあらゐけいいちさんに似ていると思いました。トーンは使わずササっと描画したように見えて破綻は無い。
pomodorosaさんによるデザインはデッサンも確かであまりとんがったデザインにはせず、幅広く支持される絵柄になっている印象。

作画はごく標準的。描線を茶系の色にするなど凝った仕掛けもあります。

『ぼくらのよあけ』1巻より
公式ホームページより

背景も美しいですが、特に「二月の黎明号」のデザインや(原作からは大幅に変更されている)、故郷の星「虹の根」のデザインを担ったみっちぇさんのデザインが素晴らしい。
オートボットのナナコのデザインもインダストリアルデザインの専門家鈴木匠さんによってブラッシュアップされるなど、デザイン面で見ても面白いです。ここが一番のストロングポイントかも。

パンフレットより

声優

主役の沢渡悠真役は俳優の杉咲花さん。他のキャラはオートボットのナナコ役の悠木碧さんをはじめとして、水瀬いのりさん、戸松遥さん、花澤香菜さん、朴璐美さん…と錚々たるキャストです。
杉咲花さんの声の演技での少年役は初めてではないかと思いますが、中性的な声の感じがゆうまという登場人物の新たな魅力を作り上げている感じです。言い方を変えれば少女キャラにしか聞こえない、とも言えますが。

スタッフ・上映時間

映画『ぼくらのよあけ』
原作今井哲也
「ぼくらのよあけ」(講談社「月刊アフタヌーン」刊)
監督黒川智之
脚本佐藤 大
アニメーションキャラクター原案・コンセプトデザインpomodorosa
アニメーションキャラクターデザイン・総作画監督吉田隆彦
演出黒川智之 鈴木 薫 宇都宮正記 中邑 正
オートボットデザインソニーデザインコンサルティング
鈴木 匠
モニターグラフィックスデザインカプセル
関 香織 宮原洋平
美術監督谷岡善王
虹の根デザインみっちぇ
虹の根映像亡霊工房
音楽横山 克
企画・プロデュース新井修平
アニメーション制作ゼロジー
出演沢渡悠真:杉咲 花
ナナコ:悠木 碧
岸 慎吾:藤原夏海
田所銀之助:岡本信彦
河合花香:水瀬いのり
岸 わこ:戸松 遥
沢渡はるか:花澤香菜
沢渡 遼:細谷佳正
河合義達:津田健次郎
二月の黎明号:朴璐美
岸みふゆ:横沢夏子
主題歌「いつしか」
歌:三浦大知
配給ギャガ/エイベックス・ピクチャーズ
上映時間約2時間
本編上映時間約1時間56分
クレジット時間約4分
ポストクレジットシーン無し

ぼくらのよあけ

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