
文:トンブリ君

映画『ChaO』観てきました。
キャラクターデザインは、てっきり漫画家の松本大洋さんが原案をしているのかと思ったんだけど、違うんスね。そこは意外と言うかなんというか。
制作のSTUDIO 4℃は「鉄コン筋クリート」「マインド・ゲーム」「海獣の子供」「えんとつ町のプペル」等かなり個性的な絵柄の作品を映像化しているし、これまでの流れを踏襲してのデザイン、ということなんですかね、知りませんけど。

しかし、作画は非常に素晴らしい。背景美術を含めてあの「ピンポン」「鉄コン筋クリート」ばりの世界がグリグリと縦横無尽に動くのは非常にクール、カッコいい。

ただ、ちょっとキャラの眼は離れ過ぎじゃないかとは思いましたが。
それと、二頭身、三頭身のかなりデッサンの変わったキャラが出てくる。あまりにも存在感があるので、『コイツら何者?宇宙人?』何か別設定があるのかと混乱してしまった(多様性の表現らしいですが)。

ストーリーは、ちょっと端折りすぎというか、伏線の提示があまりないので、前半はノリと勢いだけでストーリーが展開しているように見えて取っ付きづらかった。しかし、後半になるにつれ怒濤の展開でチャオが何故ステファンに結婚を申し込んだのか、チャオの行動の理由一つ一つが明らかになっていく。
原案にあたる人魚姫は悲劇で終わるのに対して、この「ChaO」は…、『ああ、なるほど』『ああ、それで…』というスッキリするカタルシスはあった。
ビジュアルが個性的な分、お話がわかりやすい方がバランスがとれてイイのではないかと俺っちは思う。


そもそも最近のオリジナルのアニメ映画、この「ChaO」で言うなら、例えばチャオがステファンに惚れた理由が曖昧なまま終わったり、理由があったとしてもものすごく薄弱で独りよがりな動機だったり、そういう作品が多い。
ストーリーがちゃんと成立していないのに、無理やり映画にしようとするから、強引で常識外れなストーリー展開になったり、もしくはマニアック的な世界観設定だけで体裁を整えようとしたり、中身があるんだか無いんだかよく分からない作品が多い。

↑ トンブリ君の持論的私見です。

そういう作品に比べればこの「ChaO」は、オーソドックスなラブストーリーではありつつ、山あり谷ありのストーリー展開に破綻は無い。そしてラストは感動的。ビジュアルでの個性は立っているし、映画としての華はある。世界観もしっかりしているし、無難にマトモな作品なのではないか?
と、思う、が……、キャッチコピーの宣伝文句とか見てると舐めてんのか?という気も…。

そう、そうです。共生の、感動的恋物語なのです!
映画『ChaO』
STORY
公式ホームページより
人間と人魚が共存する未来社会。
船舶をつくる会社で働くサラリーマンのステファンは、 ある日突然、人魚の王国のお姫様・ チャオに求婚される!!
その前代未聞の求婚は瞬く間に世界中に広がり、「2人の結婚は人間と人魚、両族の友好関係を樹立する」として、騒ぎ立てられる。
ステファンはなぜチャオに求婚されたのか分からないまま、周りに流されて結婚することに!
人間の世界に慣れていないチャオとの生活はハラハラ・ドキドキの連続!
だけど、純粋で真っすぐなチャオの愛情を受けて、 ステファンも少しずつあたたかい感情を持つようになっていき―――
2人の恋の行方はどうなる!?