公開日に、都内にて鑑賞しました。
この手のロボットものと言えば、やはりディズニーによる『ベイマックス』や『ウォーリー』が真っ先に私は思い浮かびます。
そういう意味では、やや出尽くした感もある〝パートナーロボットもの″とも言うべきこのジャンルにあえて臨むということは、きっとディズニーやピクサーとは全く違う所が制作しているんだろうなぁ~と思っていたのですが…、調べてみるとやはり制作は2014年にイギリスで設立された「ロックスミス・アニメーション」というCGアニメーションスタジオでした。
監督は、『ひつじのショーン』や『インサイド・ヘッド』の制作に参加していたジャン・フィリップ・ヴァイン氏とロックスミス・アニメーションの創設者であるサラ・スミス氏による共同監督。日本での配給はウォルト・ディズニー・ジャパン。
設立間もない新進気鋭の制作集団による作品、『ロン 僕のポンコツ・ボット』は、荒削り感がありながらもパワフルで、ディズニーやピクサーでは表現されないであろう視点のテーマも見られ、大変面白かったです。
舞台はアメリカ。スマートフォンとスマートウォッチと、ソフトバンクのロボット「Pepper」を合わせたようなデバイス、『Bボット』が子供たちの間で大流行している世界(見た目は大昔の携帯型ゲーム機〝PocketStation″にそっくり)。
一人ぼっちで友達がいない主人公バーニーは、世界中にネットでつながり友達を作るためのデバイスでもあるBボットが欲しくてたまらない。それを察した父親と祖母はなんとか売れ残っているBボットを手に入れ、バーニーに与えるのですが…。
このBボット〝ロン″がとんでもない不良品。ネットにも接続できない、〝トモダチ″の意味をバーニーに教わらないと理解できない。
バーニーは、ロンに友達について教えていく中で徐々に真の友情とは何かを見出し始め、ロンはバーニーにとってのかけがえのないパートナーとなる…。
まるっきり友達が作れない暗い少年バーニーの姿は、日本の漫画『私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!』を彷彿とさせるものがあります。
「ポンコツ」という設定は『ウォーリー』、さらに、ロンの不具合にまつわる重大な真相、それを隠蔽しようとする製造会社バブル社の暗躍、陰謀…。これはちょっと前公開されてた『フリーガイ』をちょっと思い出しました。
けっこう既視感のある設定も色々あるのですが、しかしバーニー自身の葛藤、戦いがネット社会の恐ろしさや影の部分をあぶり出し、やがては世界全体の改変にもつながっていくというテーマは、実にアニメらしい希望に満ちたものでありながら、社会的な領域にも踏み込んでいる。ここは従来のディズニー的な作品とは大きく違うところだと思いました。
やや、ストーリー展開は山場の連続といった感じで、見ていて少しだけメリハリに欠ける感じはあったのですが、アニメとしてはオーソドックスで変に常道を外すことはない、最後は大きな感動に包まれる良い映画でした。
ロックスミス・アニメーションはイギリスを拠点とする3DCGアニメーションスタジオ。
お隣のアイルランドには『ウルフウォーカー』などの2Dアニメで有名な「カートゥーン・サルーン」もある。
ヨーロッパに現れた新たな新星。これからはヨーロッパアニメが熱いかも。
調べてみると、このロックスミス・アニメーションは契約相手の映画会社がコロコロ変わったり、トップが変わったりといろいろと大変なようですがアメリカのCGアニメーションに対抗できるのか、今後に注目したいと思います。