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2024年6月20日 0
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言わずもがな アイドルほど素敵な商売はない!映画『トラペジウム』見ました【映画の雑感日記】

言わずもがな アイドルほど素敵な商売はない!映画『トラペジウム』見ました【映画の雑感日記】
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INTRODUCTION

「はじめてアイドルを見たとき思ったの。人間って光るんだって。」
夢に取り憑かれた少女・東ゆう。
アイドルになるための計画を進める中で、ゆうは様々な困難にめぐり逢う。
そして東西南北の“輝く星たち”を仲間にしたゆうが、高校生活をかけて追いかけた夢の結末とは──

映画『トラペジウム』公式サイト より

映画『トラペジウム』見ました【映画の雑感日記】

青春、若気の至りまくりでみんな傷つけ合うほろ苦さ、でも、時の流れの中でわかり合える深い部分での絆。
キラ星のごとく、虚飾の光が舞うアイドルの世界の中で、本当の光を見つけた女の子たちの物語。

…というような作品だと感じました。
見終わっての後味は非常に爽やか。繊細で美しい青春映画でした。

なのですが、多少気になるところも。
主人公の東ゆうはアイドルに憧れる高校一年生。
憧れのアイドルになるために綿密な計画を立て、アイドルグループ結成という野望のために三人の女の子に接近する。
そこまでしてなりたいと願うアイドル。東さん自身が語るアイドルの素晴らしさ、憧憬というものには実感がこもっている。

「初めてアイドルを見た時思ったの。人間って光るんだって。」

「そんなことない! 慣れていけばきっと楽しくもなっていく。アイドルって大勢の人たちを笑顔にできるんだよ?こんな素敵な職業ない!」

角川文庫刊 高山一実作 『トラペジウム』より

こもっているのですが、何故東さん自身が光り輝く存在になりたいと思ったのか、人々を笑顔にする存在になりたいと思ったのか、という核心的な動機とか東さん自身の心情に関する描写はやや弱い。

タレント、ミュージシャンの「あの」さんは、自身の音楽活動の根底にあるのは『復讐』だと新聞のインタビューで述べている。

──ライブでギターを弾き歌う姿は情熱的で力感がみなぎっていて、テレビとは別人のようです。

 「音楽活動の根底にあるのは怒りですね。いじめられた学生時代からその気持ちはあって、この世界に入るきっかけも復讐(ふくしゅう)心から。復讐し足りないっていう思いが、衝動に、パワーになっている」

2024年1月1日「(インタビュー)自分のままで あのちゃん、黒柳徹子さん」 朝日新聞デジタルより

おそらく、東さんが皆を笑顔にしたいと思う背景に「怒り」とか「見返す」という感情があるのはなんとなく分かるのですが、せめて『「光る」のだから、自分もそうなりたいと思った』という気持ちを語るとか、そういう取っ掛かりがあればストーリーやキャラの厚みも増すと思うのですが、そういうハッキリ分かる伏線も描写もない。

そこが気になる点だったのですが、原作も読んでみて思ったのは、そもそも東さんにとって人が「アイドルを目指す」のは自明の事であって、そこに明白な動機はない、という事でした。

「アイドルになりたくない女の子なんているんですか?」
「そりゃ沢山いるだろう。」
「みんな言わないだけで、心のどこかでは夢見ているんじゃないかってわたしは思います。」
「残念だけどそんなに美しい世界じゃない。それに、アイドルって言葉だけで嫌悪感を示す人もたくさんいる。」

アイドルの世界が美しくないなんて、やはり私には信じることはできなかった。

角川文庫刊 高山一実作 『トラペジウム』より

女の子であればアイドルを目指してあたりまえ、ショウほど素敵な商売はない、そういう無邪気な観念。これが東さんの辿った悲劇の要因であった…。

そりゃ上手くいくわけがありませんわな、というのが率直な感想。

根本となる部分がやや説明不足なので、トントン拍子に進んでいくアイドルへの道という展開がどうしてもご都合主義的に見えてしまう。
東さんの野望のためだけに存在する東西南北。三人と一人の友情と打算の二重構造。
そこまでするのか?とも思うのですが、そこまでする人なのですね、東ゆうというキャラは。

東さんはカナダからの帰国子女で、英検準一級の実力を持つバイリンガルという設定。アニメ版ではカットされているのですが原作にはカナダ在住の子供時代、東さんの喋る英語が現地のジューススタンドの親父に通じず、まるっきり無視され号泣、大いに傷つく、というエピソードが載っている。
普通ならトラウマになって英語への苦手意識を持ってもおかしくはない体験、しかしそれをものともせず現在の東さんは英語ペラペラ。
東さんは壁が高ければ高いほど情熱を燃やすタイプ。強い信念と絶大な行動力を持つ女の子、というのはわかる。

乃木坂46 1期生・高山一実は、2016年から雑誌『ダ・ヴィンチ』で長編小説の執筆に挑戦した。
小説のタイトルは『トラペジウム』。
現役アイドルとして生きる日々の中で高山が書き綴ったのは、「アイドルを目指す少女の青春物語」だった。

映画『トラペジウム』公式サイト より

ただ、それにしても、と感じる部分はあったのですが…、〝トラペジウム〟というタイトルにも表れている「光」という主題は美しい。ただ美しいだけではない、希望・絶望、そこには様々な光があり、様々な陰がある。いろいろと考えさせられるものがありました。
原作者である高山一実さんの〝アイドル〟という光と陰への心情、可憐で儚い作品の世界観というものは、一つの作品としてユニークで面白かった。
出てくるキャラクターもそれぞれ個性が立っているし、作画も良いし、声優さんも良い。映画として良い作品だと思いました。

あらすじ

高校1年生の東ゆうは“絶対にアイドルになる”ために、自らに「4箇条」を課して高校生活を送っている。
1)SNSはやらない
2)彼氏は作らない
3)学校では目立たない
4)東西南北の美少女を仲間にする

半島地域「城州」の東に位置する城州東高校に通うゆうは、他の3つの方角の高校へと足を運び、かわいい女の子と友達になる計画を進める。
その裏には、「東西南北の美少女を集めてアイドルグループを結成する」という野望があった。

西テクノ工業高等専門学校2年生で、高専ロボコン優勝を目指す“西の星”大河くるみ。
聖南テネリタス女学院2年生で、お蝶夫人に憧れる“南の星“華鳥蘭子。
城州北高校1年生で、ボランティア活動に勤しむ“北の星”亀井美嘉。
ゆうの計画を知り協力する男子高校生・工藤真司のサポートもあり、ゆうは3人の美少女と友達になる。

映画『トラペジウム』公式サイト より

引用画像は YouTube公式チャンネル「アニプレックス チャンネル」「映画『トラペジウム』本予告 2024年5月10日公開」より

アイドル トラペジウム 高山一実

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