藤子・F・不二雄SF短編<PERFECT版>(1)ミノタウロスの皿 に収録されている「スーパーさん」の感想です。
1 「スーパーさん」の感想
1968年小学館発刊の「少女コミック」(現「Sho-Comi」)9月号に掲載された作品。
ある日突然、横町のスーパーマーケットやすい堂の娘がスーパーガール「スーパーさん」になっちゃったお話。
最初読んだ時は、絵柄は赤塚不二夫的だし、ストーリー的にスーパーガールになった理由は全くノータッチ、典型的なナンセンスコメディにも見えたので少女マンガ誌に掲載された作品とは思いませんでした。
しかし、よーく見てみると女の子の変身願望とか流行に敏感なところとか、巧みに小中学生の女性読者の志向を表現しているようにも見える、気もします(そういう捉え方は現代のジェンダー平等の観点から良くないのかもしれないけど)。
もう一方のテーマである、謂われもなく超常的な力を得た市井の人間の戸惑いやドタバタをコミカルで卑近な例で描く内容はすごく藤子F的。
この種のスーパーマンネタはこの後もたびたび出て来ます。『カイケツ小池さん』『わが子・スーパーマン』『ウルトラ・スーパー・デラックスマン』、話を追うごとにリアリティや社会性が増し、恐ろしい内容になってゆくのですがその絶望的なテーマの推移をふまえて読むと、頑張っても頑張っても最終的にはスーパーやすい堂の繁栄という小さなところに行きつくスーパーさんにとっての正義こそが、重要な意味を孕んでいるような気もします。
「藤子・F・不二雄SF短編<PERFECT版>(1)ミノタウロスの皿」について
藤子・F・不二雄のSF短編112話を全8巻に完全収録した“PERFECT版”が登場! 鋭い風刺精神を存分に発揮した「藤子美学の世界」にどっぷり浸かれる作品集!
Amazon.co.jp商品説明より
藤子・F・不二雄氏による短編の総集編。第一巻は1968年の「少女コミック」9月号に掲載された『スーパーさん』から1973年「ビッグコミック」4月10日号に掲載された『イヤなイヤなイヤな奴』までを年代順に収録。
巻末には藤子・F・不二雄氏の長女である藤本匡美さんによるエッセイ「こっそり愛読した父の作品」が掲載されています。
タイトル | 雑誌名 | 年月号 |
---|---|---|
スーパーさん | 少女コミック | 1968年9月号 |
ミノタウロスの皿 | ビッグコミック | 1969年10月10日号 |
ぼくの口ボット | 子供の光 | 1970年1月号 |
カイケツ小池さん | ビッグコミック | 1970年4月25日号 |
ボノム=底ぬけさん= | ビッグコミック | 1970年10月10日号 |
ドジ田ドジ郎の幸運 | SFマガジン | 1970年11月 増刊号 |
じじぬき | ビッグコミック | 1970年12月25日号 |
ヒョンヒョロ | SFマガジン | 1971年10月 増刊号 |
自分会議 | SFマガジン | 1972年2月号 |
わが子・スーパーマン | ビッグコミック | 1972年3月10日号 |
気楽に殺ろうよ | ビッグコミック | 1972年5月10日号 |
アチタが見える | ビッグコミック | 1972年8月25日号 |
換身 | SFマガジン | 1972年9月 増刊号 |
劇画・オバQ | ビッグコミック | 1973年2月25日号 |
イヤなイヤなイヤな奴 | ビッグコミック | 1973年4月10日号 |
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